ももえる@小4

2月14日 バレンタインデー。
恋する乙女の大切な日。
ももえるが生涯で初めての告白を決意した日。

方向音痴極まりないももえるは
一人で彼の家にたどり着ける自信はなかったようだ。
「ママ~ついてきて~~~」
まさか、娘の告白シーンに着いて行くお許しが勝手に降って来るとは思ってなかった。
そんなシーンに立ち会えるとは、女性ホルモン噴出して若返りそうだわ。

彼君の家の前まで送る。
「ほれ、がんばっておいで。
 何て言うんだった?」
「好きです。付き合ってください。」
「よし!行っておいで。」

ピンポーン
「はーい」

インターホンから彼母の声が聞こえる。
「彼君いますか?」
名を名乗れーーー。
彼母に恥ずかしいだろーーー!

そんな私のズッコケなんてツユ知らず。
ももえるの声からも緊張が伝わってくる。

私のいる場所からは、ももえるの声は聞こえない。
別に聞き耳を立てていたわけではないが、聞こえるものは聞こえる。
彼君の「ありがとう」が三回くらい聞こえて、ドアの閉まる音。
そして、ももえるの走ってくる足音が聞こえた。

「どうだった?」
「半分しか言えなかった!!
『スキです』しか言えなかったの~~。」
「『好きです』はちゃんと言えたんだ?で、彼君はなんて?」
「「はーい」って・・・。」
興奮で紅潮していた顔が曇っていく。
「『付き合ってくださいって』言えなかったの・・・」
「がんばったね。好きですって言えただけでも大したもんだ!」

まぁね~~~。
普通言えないよねぇ~~。
だからさー、
手紙書いとけって言ったんだよね~~~。
言えなくなってもちゃんと伝わるように。
なんだけど、手紙書けなくて困っていたももえるに、
パパが手紙なんて不要だみたいなことを言ったらしく、
メッセージカードもついてないんだよね・・・。
「手紙ちゃんと書けばよかった・・・ぐすん」
「まぁねぇ~。なかなかちゃんと言うのは難しいよねぇ~。」
「来年はメッセージ書く。」
・・・なんでもうフラれることになってんだかわからないが、
付き合ってと言えなかった=付き合えないという思考なんだろう。

「まぁさぁ~
今度遊びに行くから、その時に言うとか・・・。
ホワイトデーにお返しくれるだろうから(彼母はそこらへん律儀だし)、
その時に聞いてもいいだろうしさ。」
「んーー。どうしよう~~~~~~~。」
そんなわけでももえるの苦悩は続く。

その日のももえるは
彼の態度がどうこう以前に
自分の目標が達成できなかったことで随分落ち込んで、
ベッドの住人となっていた。
相手がいることとはいえ、自分との闘いだったようだ。。。

彼母からラインが来たので、彼君どうしているか聞いたところ、
「チョコ貪り食ってたよwww
ごめんねー、乙女心のわからない奴でー」
という回答で。
少なくとも捨てられなかっただけ希望が持てるってことにしておこう!


今回の件で最大のミステリーは
彼は「好きです」に対して「ありがとう」と言ったと彼母に供述しており、
私も「ありがとう」×3しか聞いていないのだけど、
ももえるの中では「はーい」って言われたことになっていること。
いっぱいいっぱいすぎて、脳がショートしたのだろうか?


潔くチャイムも押したし(私は押せなくて30分くらいグズグズしそうなタイプ)、
ちゃんと「好きです」って言えたし、
上出来だよ!